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JBMAニュース

JBMAに関するニュースや世界のブラインドマラソンのニュースを掲載していきます。

JBMA強化合宿体験レポート(広報インターン記事)

ただただ楽しかった。

これが帯同させていただいた身として正しい感想なのかはわからないが、5日間過ごした素直な思いを述べるならば私はこう答える他ない。

 

今回私は広報インターンの身でありながら、北海道・北見で行われたJBMA強化合宿に5日間帯同させていただいた。3年目を迎えた広報インターン活動の中でも、長期合宿帯同は初めての体験だ。強化指定選手の競技力向上のため、7月3日(火)~10日(火)の全7泊8日の日程で行われたこの合宿は、記録会と40キロを超える距離走をそれぞれ二度ずつ行うなど非常にハードな内容。毎年恒例のメニューだそうだが、行程表を初めて見たときは相当過酷なメニューに正直驚いてしまった。

合宿参加者は、男女各3名の選手、伴走者6名、JBMAスタッフ2名、JSCからフィジカル、メンタルをケアするトレーナーが2名、そして私の計17名。全メンバーが同じ宿泊先に滞在し、同じ時間を過ごす。

 

合宿初日。午後4時前には全員が宿舎に到着し、軽くミーティングを済ませると選手たちは翌日のホクレンディスタンスチャレンジ・網走大会に向け各自調整のジョギングへ向かった。ストレッチや器具で体をほぐしてジョグに向かう背中を見送り、空を見上げると少し霧がかった曇り空で気温は20℃ほど。猛暑の東京に慣れていた体には少し肌寒いくらいだった。その後はそろって夕食。美味しいごはんに会話が弾み、とても楽しい食卓だった。実はまだ緊張気味だった私にも、皆さんがたくさん話しかけてくださり、優しさとうれしさも一緒に噛みしめていたことはここだけの話だ。

 

合宿中一度目の記録会、ホクレンディスタンスチャレンジ・網走大会が午後に控える2日目。朝9時の段階で気温は10℃、雨が降ったりやんだりの不安定な天気だった。早朝のうちにコンディションチェックと朝練習を終え、朝食後は各自試合に向けたフリー時間。選手たちは各々準備を進める。昼食時にはJBMA安田享平強化委員長から、記録が狙える気象条件であることや、ブラインドマラソンという競技を陸上界全体に浸透させるためにもこの競技会は重要な意味を持つことなどが伝えられた。というのも、日本陸連が主催しているホクレンディスタンスチャレンジには毎年多くの強豪実業団や大学が参加しており、この場に集まるのは陸上関係者ばかり。ブラインドマラソン種目の魅力や競技力の高さをアピールするには絶好の場なのだ。

選手たちからも目標タイムの発表があり、昼食を終えると競技場へ。レースについては既にアップしていただいた記事に代えさせていただくが、私個人としては久しぶりに間近で見るレースに、「やっぱりかっこいいなあ」と見惚れながらカメラのシャッターを切っていた。

 

レース翌日の3日目のメニューはなんと、4048キロの距離走だ。宿舎から車で10分ほどの能取湖の周りを囲むサイクリングロードを利用して設置された往復8キロの直線コース。ここを5~6往復する。聞くだけでも気が遠くなりそうなハードさだが、そこに拍車をかけたのがこの日の天候だった。7月にもかかわらず、最高気温が9℃という寒さに加え、しとしとと降り続ける雨が容赦なく体温を奪っていく。深い緑の木々に囲まれた湖畔のコースは、雨に濡れどこか神秘的な雰囲気さえまとう綺麗な場所だった。その中を、各々の設定ペースで走り続ける選手たち。そこにはタッタッという足音だけが響いていた。練習後寒くなかったか選手に尋ねると、走っていると丁度よかったとのこと。そういうものなのか…。

距離走から戻り、入浴や食事を済ませた後には前日の網走大会を振り返る時間が設けられた。陸連が公開しているレースのライブ映像を見ながら、各自の課題を探していく。伴走者との連携はどうか、どこから動きが崩れていったのか、北見大会までにどう改善するか。互いに意見を出し合う姿を見て、伴走者がつく場合は特にだが、意思疎通が本当に重要な競技であるということを改めて感じた。

 

休養日を挟み、迎えた合宿5日目。二度目の記録会、ホクレンディスタンスチャレンジ・北見大会当日だ。相変わらず天気はすっきりしないものの、走るには適したコンディション。しかし距離走やここまでの合宿で蓄積された疲労の影響が気になるところだ。レースは男女一斉に午後3時にスタートした。この大会で日本記録の更新も狙っていた和田伸也選手(T11、長居WIND)は「3000m通過が網走大会と同じくらいになってしまい、そこからずるずると落ちてしまった」と反省点を述べたものの160226のトップでゴール。網走大会で見られた伴走者との連携ミスを完璧に修正していたのが印象的だった。女子トップは194269の道下美里選手(T12、三井住友海上)。30004000mの中盤に見られたペースダウンが響き、タイムを上げきることができなかった。レース後道下選手自身も「応援が力になったがタイムが良くなく悔しい」と無念をあらわにしていた。

 

「楽しかったな」。

レースを見届け一人空港に向かう道中でも、飛行機の中でも、そしてこの記事を書いている今でも、ひたすらにそう思っている。アスリートの顔をしてウォーミングアップに向かう姿も、トラックの上を走り抜ける姿も、静かな湖畔のコースに響く足音や呼吸も、みんなでニュースを見ながら食べた朝ご飯も、たくさん話をして笑いあった夜ご飯も、一番近くで一緒に過ごさせてもらった時間が、そのすべての経験が、本当に楽しかった。5日間お世話になった皆さんに本当に感謝の意を表したい。そしてやっぱりこの競技を、そこで輝く選手たちを、もっと多くの人に知ってほしい。私にもできることがあるのならば、少しでも貢献していきたい。そんな思いが一層強くなった日々だった。

 

文章・写真 広報インターン 太田萌枝(早稲田大学)

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