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ホクレン・ディスタンスチャレンジ北見大会(広報インターン記事)

 北海道とは思えない暑さが選手を苦しめた。7月9日、北海道北見市で開催されたホクレンディスタンスチャレンジ第3戦。T11〜13クラスの男女5000メートルは、気温30度・湿度47パーセントというタフな条件下でのレースとなった。本レースには昨年のリオパラリンピック盲人マラソンでメダリストとなった岡村正広(千葉県立千葉盲学校)、道下美里(三井住友海上)らを始めとした12選手が出場。中でも道下は悪コンディションをものともせず、自らの日本記録に迫る走りを披露した。
 ホクレンディスタンスチャレンジ北見大会の口火を切ったのはT11〜13クラス男子5000メートル。視覚障がい者のレースは障がいの重さでクラス分けがされており、T11クラスが最も障がいの重い「全盲」クラスで、伴走者を付けるよう定められている。T12クラスは伴走者の有無を選手自身が選択することができ、T13クラスには伴走者が付かない。選手6名が出場した今回のレースを牽引したのは、T12クラスで日本記録(14分48秒89)を持つ堀越信司(NTT西日本)だった。ペースメーカーがおよそ1000メートルを3分のペースを刻み、堀越とT12クラスの熊谷豊(三井住友海上)が追う展開。1400メートルを過ぎたところで熊谷が付いていけず、堀越の「一人旅」が始まった。2000メートルを6分08秒、3000メートルを9分21秒で通過したが、「(練習拠点の)京都より湿度も低く嫌な感じはなかったが、3000メートルを過ぎて暑さを感じた」と、徐々にそのラップが落ち始める。ラストスパートで盛り返したものの、フィニッシュタイムは15分49秒57。狙っていた15分30秒には届かなかった。
「あまり練習が積めていなかった現状や条件を考えると、仕方ないタイムだったかなと思います」と堀越。春先に出場したマラソンやその当時に抱えていた故障などが重なり、今季はまだ思うような練習ができていなかったという。その中でも、「今回は練習の一環と割り切って、現状で出せる力を出そうと思っていました。(15分)50秒を切れたのは良かった」とまずまずの手応えをつかんだ様子だ。この結果を踏まえ、大会後北海道で行われる合宿については「しっかりと脚を作り、秋以降につなげていきたい」と語り、今後の飛躍を誓った。
 
写真:4月のロンドンマラソン以来のレース出場となった堀越選手
 一方、男子の後に行われた女子T11〜13クラス5000メートルでは、T12クラスの道下が快走を見せた。今年5月に19分10秒66の日本記録を打ち立てた道下は、「さらに日本記録を更新したい」という意気込みでこのレースに挑んだという。暑さを考慮し、最初の1000メートルを3分48秒と抑え気味で入ると、その後もコンスタントにラップを刻んでいく。2000〜3000メートルで若干ペースダウンしたものの「自分らしい、粘りのレースができた」と、自らの日本記録に肉薄する19分11秒72をマークした。
レース後には「(タイムについては)このコンディションの中ではまあまあ」と納得の表情を見せた道下。昨年はリオパラリンピックのマラソンに向けロードで練習を積んでいたが、今はスピード強化に努めている。「例年、年に一度出るか出ないか」という5000メートルのトラックレースは、今季すでに4度目だ。今後の合宿では走り込みを行い、冬のレースへとつなげていくことを目標としている。トラックで培ったスピードは必ずマラソンへと生かされることだろう。
ホクレンディスタンスチャレンジはこれまで幾多の好記録が誕生した実績ある記録会だ。今大会でも遠藤日向(住友電工)が3000メートルのU20日本記録を更新するなどの盛り上がりを見せている。その大会に今年からパラ種目が加わったことについて、「本当にありがたいなと思います。これからもその注目に応えられるような走りを結果で見せていきたい」(堀越)と、選手たちも背中を押された様子だった。今回のレースや今後の北海道合宿を経て、一回りもふた回りも強くなった姿を秋以降に見せてくれるに違いない。
文章:早稲田スポーツ新聞会 平野 紘揮、写真:早稲田スポーツ新聞会 太田 萌枝
 
写真:日本記録に迫る走りを見せた道下選手と青山ガイド

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