『パラリンピック種目であるブラインドマラソンを学び体験する』ことを目的として、8月5日、東洋大学川越キャンパスにおいて、標記の体験会がありました。川越市民を対象として、市内在住の児童、保護者など40名ぐらいの参加がありました。また、東洋大学陸上競技部長距離部門コーチであり、今回の体験会の講師でもある谷川嘉朗コーチの積極的な働きかけもあり、陸上競技部の学生も30~40名の参加がありました。
ブラインドマラソン協会からは、世界大会でも活躍したT11クラスの安部直美さんと伴走者の成田フサイさん、トラック競技T13クラスの松本光代選手、そして理事の泉が参加しました。
初めは講義室でリオパラT11クラス、男子100m決勝の映像を見てもらいました。ゴールタイムは10秒99です。昨年、東洋大学在学中に9秒98の日本新記録を樹立した桐生祥秀選手との比較でブラインド種目の競技のレベルの高さを感じてもらいました。
続いて安部さんと成田さんに体験を話してもらいました。3時間18分07秒のタイムを持つ安部さん、そして、その競技生活を長い間支えてこられた成田さん、お二人の頑張り、信頼関係や尊敬の思いが、参加者の皆さんに伝わっていきました。
泉にバトンタッチして、まず白杖の役割や電車の駅が視覚障がい者のためにどんな設備がされているかを子供達に考えてもらいました。続いて、ブラインドマラソン協会の初代会長である杉本博敬さんが設立したいきさつやノーマライゼーションを目ざしている協会の活動、2020東京パラでメダル獲得を目標に選手強化がなされていることを話しました。また、一概に視覚障がいと言っても様々な見え方があることを習字の半紙を利用して体験してもらいました。
次に、広い陸上競技場に出て、トラックの内側の芝生に5グループに分かれて活動しました。
初めはブラインド体験です。約15m離れたコーンが目標で、アイマスクをつけて歩きました。皆さん慎重に神妙に歩いています。うまくコーンにたどり着いた人もいましたが、ほとんどの人は大きくそれたり、手前で止まったり、ずっと行きすぎたりという感じでした。見えない状態で移動することの難しさや怖さを感じたようです。
次に、東洋大学がこの日のために用意してくれた大学のロゴ入りのガイドロープを使い、二人一組になり、アイマスクをつけた人を誘導するガイド体験です。小学生と大学生がコンビとなり、仲良く活動する様子も見られました。ここで安部さんと成田さんに走ってもらいました。「足がそろっている」「腕の振りがきれい」・・・・みんな感心しながら見ていました。今度は走る体験です。二人三脚をイメージしながらゆっくり走りました。ぎこちなさはありましたが、皆さん熱心にブラインドマラソンの体験をしてくれました。
もう少し、深めたいところもあったのですが、何しろ猛暑の中での運動です。途中2回ほど給水タイムを入れながら、約1時間の屋外活動でした。
そして、まとめ。安部さんと成田さんの走りを近くで見ておられた谷川コーチは、「芝生のちょっとした凹凸までも成田さんは安部さんに伝え、安部さんはハイと言葉で答えていました。絶えずコミュニケーションをとっている姿に感動しました」と話してくれました。伴走の体験を通しランニングの喜びが増し豊になること、視覚障がい者の方が困っているような場面に出合ったら「何かお手伝いすることありますか」と勇気を持って声をかけてほしいことを話して体験会を終えました。参加者の笑顔を沢山見ることができた体験会でした。
文責:日本ブラインドマラソン協会 理事 泉 富夫