12月4日。走るには少し暑いくらいの柔らかな日差しのもと、JBMA神宮外苑ロードレースが開催された。今年で34回目を迎える同大会には延べ1500人以上がエントリー。記録を競う10キロのロードレースと、楽しくそれぞれのペースで歩くことを目的とした5キロのウォーキングの2種目が用意された。老若男女、障がいの有無などあらゆる垣根を取り払い、誰もが楽しめるこの大会。ノーマライゼーション社会の実現へ向け、果たす役割は大きい。
10キロのロードレースは、國學院高校前をスタートし、銀杏並木を折り返す一周2.5キロのコースを4周する。このレースには76名の視覚障がいランナーも参加。また、ゲストランナーには、今年9月にリオデジャネイロパラリンピックで銀メダルを獲得した道下美里選手(三井住友海上)、同じく銅メダルを獲得した岡村正広選手(千葉県立千葉盲学校)、96年アトランタパラリンピック金メダリストの柳川春己さん、女子実業団チーム・パナソニックエンジェルスのみなさんも顔をそろえた。10キロという距離と高い気温の影響もあってか、途中苦しそうな表情を浮かべる参加者もいたが、思い思いの目標に向かって走る姿は生き生きと輝いていた。ゴールの瞬間は自然とすがすがしい笑顔に。伴走者とともに参加した女性ランナーも「良い天気の中、楽しく走れた」と微笑んでレースを振り返った。高低差はなくフラットだが、カーブが多く、折り返しも急で意外にも難しいコースだったそうだが、道下選手もレース後には「このコースに対応できたら世界で通用する!」と冗談交じりに話した。
ロードレースの5分後にスタートしたウォーキングは、銀杏並木を抜け、迎賓館の周りを歩く1周5キロのコース。小学生から参加できるこちらの種目では、家族連れや大学生、盲導犬と共に歩く視覚障がい者など非常に幅広い層の参加者が一緒にウォーキングを楽しんだ。歩幅は違えど、『楽しく歩く』という共通の目的を持った参加者の間には何の差異もない。まさにノーマライゼーション社会の縮小図ともいえる光景だった。ぽかぽかした陽気の中を歩き、額にはさわやかな汗が浮かぶ。たくさんの笑顔が咲いた5キロとなった。
次回で35回目の節目を迎える本レース。2020年の東京パラリンピックに向けて、今後もますます盛り上がっていくだろう。また来年、黄金色の銀杏のもとに、たくさんの笑顔が咲き誇るのが楽しみだ。 文章/写真:早稲田スポーツ新聞会 太田 萌枝