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日本ブラインドマラソン協会

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かすみがうらマラソン2022:レース記事

 柔らかな春の陽光の元、茨城の地で3年ぶりにかすみがうらマラソン兼国際ブラインドマラソン2022が開催された。30年を超える歴史を持ち、1995年にはブラインドの部を併設、2010年には国内で唯一のIPC公認大会となるなど、日本におけるブラインドマラソンの普及に大きく貢献してきた本大会。5km、10マイル、フルマラソンと3部門に分かれ、トップ層の選手だけでなく日常的にランニングを楽しんでいるブラインドランナーにも広く門戸が開かれる。今大会にも100名を超えるブラインドランナーがエントリーし、それぞれのゴールへと向かい汗を流した。

 

 フルマラソンは土浦駅東側のJ:COMスタジアム付近をスタートして5kmほど北上の後、国内で2番目の面積を誇る湖・霞ヶ浦をめがけて東へ進んで中間点を超えると、後半20kmは湖に沿うように再び土浦市街地へと戻ってくる42.195キロの道のり。前半の20kmまでには最大高低差25mを超えるアップダウンが待ち構えるが、一転して後半は平坦な道のりとなるため、どこで力を使うか、それぞれの戦略がポイントとなりそうなコースだ。

 

 男子フルマラソンの部を制したのは、今回が本大会初参加となった堀越信司選手(T12、NTT西日本)。スタート前から安田享平強化部長も「かなり調子が良い。記録が出る」と期待を寄せていたとおり、記録、内容ともに充実の走りとなった。「2時間20分切りを見据えながら自己ベストを狙っていきたい。仮想パリパラリンピックとして、全体の中で先頭集団で戦いたい」と意気込み臨んだ今大会。きつい上りを含む最初の5kmを16分46秒で入ると、前半は落ち着いてペースを維持しレースを進める。「20kmから動きが良くなった」と自身でも振り返ったように、後半の強さを発揮し、目標とする2時間20分を狙える、5kmあたり16分40秒前後へペースを上げていく。レース後半にかけて太陽が照り気温が上昇する中、単独走の堀越選手にとっての一つのポイントともなる給水がうまくいかない場面もあったというが、冷静に対処し、疲労が押し寄せる30kmを超えてからも粘りの走りを見せた。ブラインドマラソンの部トップ、総合の部4位で競技場へ姿を見せるとアジア記録、そして自身のベストを更新する2時間21分21秒で歓喜のゴールテープを切った。メダルを獲得しながら世界の強さを痛感した東京パラリンピックから早半年。すでに見据える3年後のパリ大会へ、進化の歩みは止まらない。

 

 堀越選手に続いてブラインドマラソンの部2位、総合9位に入ったのは熊谷豊選手(T12、三井住友海上)だ。調子は万全ではなかったというが、レース前目標としていた2時間30分を優に上回る2時間27分35秒でゴールへ。復調の兆しを見せたレース後、ともにゴールまで走ってきた一般選手と互いを称え合い見せた笑顔が印象的だった。続く記録でゴールしたのはT11クラスの米岡聡選手(三井住友海上)。自己ベストを目標に挑んだ今大会で、従来の記録を見事1秒上回る2時間45分44秒をマークし、一歩一歩に宿る思いを形にした。

 

 女子フルマラソンの部を制したのは近藤寛子選手。(T11、滋賀銀行)。前半のアップダウンの疲れもあってか、後半ペースを落とし自身のベスト記録には届かなかったが、3時間16分33秒でフィニッシュテープへ。表彰式では伴走を務めた山口遥さんとともに柔らかい表情を見せ、大会を笑顔で終えた。T12クラス3位に入った大谷洋子選手は、今年度から強化指定選手となった新鋭。今回、自身のこれまでの記録を9分近く更新する3時間26分44秒で走りきり、今後の活躍が期待される。

 

 3部門それぞれの晴眼のランナーとブラインドのランナー及びその伴走者が混じり合うフィニッシュエリアは一見混沌としているように見えた。しかし、そこにいたのは、走る目的も、目標も、環境も、走り終わって感じる感情も、身体の特徴も何もかも違うけれど、いずれもゴールを目指して懸命に走ってきたランナーだ。互いの尊重の上に生まれるその混沌とした光景こそが、スポーツが生み出し得るダイバーシティなのではないかと思った。3,000名を超えるボランティアの参加や、8ヶ所に渡るブラインドの選手専用のエイドステーションの設置など、多くの人々のサポートを受けて長年続いてきた今大会。今後もきっとブラインドマラソンという競技の裾野を広げ、良い混沌を生み出す場になっていくのだろう。また来年、桜の季節の少し先で見られる景色が楽しみだ。

文責・写真:太田 萌枝

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