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日本ブラインドマラソン協会

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北海道マラソン2022:レース記事

 世界中からアスリートが集い、熱い戦いを繰り広げた東京オリンピック・パラリンピックから早1年。東京大会のレガシーを受け継ぎ、オリンピックのマラソンコースを一部取り入れた新たなコースで8月28日(日曜)に北海道マラソン2022が開催された。東京オリンピックの準備や新型コロナウイルスの影響で3年ぶりの開催となった本大会には、21,000人を超える選手がエントリー。晩夏の爽やかな風に乗って、ランナーたちの活気が札幌の街を満たした。IPCブラインドの部では、男子5名、女子6名の選手が夏のマラソンへ挑んだ。
 
 比較的アップダウンの少ないコースだが、日差しや風を遮るものがなくなる20km地点から12km弱続く、折返し地点を含んだ新川沿いの直線と、38km付近からの細かい曲がり角が多い北海道大学内をうまく走りきれるかがポイントとなる。気温の上昇に応じた給水の確実な確保や、足場の悪いコースでの位置取り等、伴走者がいるランナーにとっては伴走者との意思疎通も重要だ。
 ブラインド男子の部を制したのは、今季トラック競技でも好調な和田伸也選手(T11、長瀬産業)。T11クラスの世界記録を更新した2月の別府大分毎日マラソンぶりのマラソンとなった本レースは、2時間30分切りでの優勝を目標に掲げ挑んだ。「最初から良いペースで刻んでいけた」と自身でも振り返ったとおり、若干の上りとなる最初の5kmを17分44秒で入り順調に滑り出す。太陽が高く昇っていくにつれて暑さが増す中でもしっかり給水を取りながらペースを崩さずに前へ。中間点は1時間14分38秒、ブラインドの部1位で通過し、目標達成へ向けて順調にレースを進めていく。再び札幌市街地へと向かう後半は、徐々にペースを上げてきた一般女子の部トップを行く山口遥選手(ACKITA)と並走する形でゴールを目指した。山口選手は自身も国内トップクラスのランナーとして競技に取り組みながらブラインドマラソンの伴走者としても活躍する仲間だ。互いの存在は良い刺激となり、苦しい最終盤の粘りを生んだ。和田選手はラストの2.195kmを7分47秒でまとめ、2時間29分50秒の大会記録で優勝。山口選手も並ぶようにゴールし、念願のMGCへのチケットを掴んだ。「山口さんとはレース中3、4回バチバチ戦った。仲間と切磋琢磨して一緒に2時間30分を切れてよかった」(和田選手)。こんな形で競い、高め合えるのは、きっと部門を越えてよーいどんでスタートするマラソンならではの光景だろう。
 本大会を上半期の区切りと位置づけ、目標通り優勝で締めくくった和田選手。「下半期は少し期間があるのでしっかりスピードと走り込みをして秋冬を超えて、世界選手権で上位に入れるように準備して行きたい」と今後の展望を語る。飽くなき向上心と進化を続ける心身から次はどんな走りを見せてくれるのか、今から楽しみだ。
 男子2位は、2時間35分19秒の高井俊治選手(T13、D2C)。「スパートをかけるタイミングが早すぎてラストが持たなかった」と自身のレースを振り返った。しかし、一つ一つ積み重ねているレースの経験は、着実に今後の糧になっていくはず。次回のレースに期待したい。
 
 ブラインド女子の部は道下美里選手(T12、三井住友海上)が大会記録を更新する3時間7分23秒で3連覇を果たした。「今回5キロのラップを22分15秒で刻もうと伴走者の二人と話をしていて、最初の5キロを22分16秒で入ることができた」と、まさにプラン通りのレースを展開する。一般ランナーの集団の中で走る時間も長かったが、ペースが乱されることはなかった。35kmからのラスト7kmで再度1kmあたりのラップタイムを4分20秒台まで戻し、きっちり目標を達成してフィニッシュ。「足が結構フラフラになっていたところもあったが、二人のガイドがバッチリだったので良い流れで最後まで粘れた」(道下選手)。そう振り返った伴走者との絆は、レース中に見られた笑顔からも滲んでいた。これからも抜群のチームワークで限界を越えていく姿をまだまだ見せてくれるだろう。
 
 東京パラリンピックが終わったばかりのように感じるが、気がつけば次のパリ大会までは2年を切っている。パリ大会の参加標準記録の有効期間は10月1日以降の記録が対象となるため、ここから選手たちのギアもまた上がっていきそうだ。東京大会が残したレガシーは、マラソンのコースだけではないはず。その上に、パリやもっと遠くに続く道がどう築かれていくのだろうか。一つずつ見続けていきたい。
 
写真:表彰式に参加した選手と伴走者
 
文責・写真:太田 萌枝

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