2019WPA(ワールドパラアスレチック)マラソン世界選手権(ロンドンマラソン)の選考最終レースとなった別府大分毎日マラソン大会(別大)が明日開催される。重要な選考レースを前にして、熊谷豊(T12、三井住友海上)、堀越信司(T12、NTT西日本)、唐澤剣也(T11、群馬社福事業団)、道下美里(T12、三井住友海上)の4名が記者会見に臨んだ。男子選手にとっては日本視覚障がい男子マラソン選手権大会を兼ねており、対抗心をのぞかせる場面もあった。
画像:記者会見に参加した、左から熊谷選手、堀越選手、唐澤選手、道下選手
今大会で3連覇がかかる熊谷は「自己ベストの2時間27分35秒を目指し、とにかく世界ランキングを上げる」と、ロンドンマラソン、その先の東京パラリンピックを見据えた目標を立てている。5月から8月にかけてケガに苦しみ計画が崩れた部分もあったそうだが、苦手な後半で粘りを見せ、目指しているタイムを達成したいところだ。
一方その熊谷に対抗心を燃やしていたのは堀越。過去2回、別大では、途中棄権と故障による欠場と成績を残せておらず、「別大の悔しさは別大で晴らす」と優勝を最大の目標に掲げている。アジアパラ2連覇と、トラックで培っているスピードを武器に、フィニッシュテープを切りたいところだ。
陸上競技を始めて3年、マラソンは今大会が2回目と男子ブラインドマラソン界期待の若手、唐澤は2時間40分切りを目標タイムに設定。夏場はトラックでスピードを、冬場はマラソンでスタミナを強化しており、「今回1本で選考にかかるか、かからないぐらいのタイムで」と控えめながらも虎視眈々とロンドンマラソン代表の座を狙っている。
女子ブラインドマラソン界のエース道下は、今回練習の一環としてレースに参加する。試したいテーマは『給水』。以前よりも自分の体を繊細に感じるようになり、「血糖値の浮き沈みを減らしたい。蓄えてレースをやりたい」と練習では試している方法を試合で初実戦。今後のレースに向けて収穫を得たい。
別大のコースは、特に後半20キロメートル以降が難関。「路面が傾斜になっていて若干走りにくく、この時季特有の風が吹き付ける」と熊谷は評する。後半をどのように制するのかが勝負のカギとなるだろう。安田享平強化委員長は「最後まであきらめずにやってほしい。実際昨年には熊谷選手がレース終盤のラスト100mで逆転優勝を果たしている」と選手たちを激励した。最後まであきらめなかったものに次への道が拓かれる。東京2020パラリンピックへの火蓋が切られる。
記事・写真 早稲田大学 杉野理恵