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日本ブラインドマラソン協会

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JBMAニュース

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世界で1番チーム力が問われる個人競技 〜かすみがうらマラソン兼国際盲人マラソン〜:広報インターン記事

写真1:10マイルスタート直前の緊張感溢れる様子

『OneSky.~おなじ光、風、思い。~』同じ舞台に立つことを通して、ひとつになっていく参加者全員の気持ちを表現しているこの言葉。

このコンセプトをもとに4月15日(日)、茨城県土浦市にある川口運動公園でかすみがうらマラソン兼国際盲人マラソン2018が開催された。

大会全体で2万4000人を超えるエントリーを受け、人気を集めている大会である。種目は5キロ、10マイル、フルマラソンの3部門に分かれている。かすみがうらマラソンと同時開催の国際盲人マラソンは2010年に世界で初めて国際パラリンピック委員会(IPC)公認コースとなり、世界大会などへの出場条件となるタイムが公式に認められる。「IPC登録大会なので、少しでもランキングを上げたい」とフルマラソン男子B-2に出場した羽立祐人選手(北海道札幌視覚支援学校教諭)が話すように、世界を目指す選手たちにとっては重要な位置付けになっているのだ。

大会前日には運営関係者や出場選手、その他ゲストの方を交えた前夜祭が行われ、市全体としての盛り上がりを感じることができた。

マラソンなど、様々な人たちの協力を得て行われる大会は、競技だけでなく”地域や人”の暖かさを感じ取ることができ、その側面も魅力の一つである。

荒れた天候が心配されていた大会当日の朝。天気予報は嘘をつかず、傘をさして歩くのがやっとという状況の中でかすみがうらマラソン兼国際盲人マラソンは幕を開けた。しかし、参加者全員の思いが通じたのか、10マイルスタート時の午前9時20分には雨・風ともに穏やかになり「かすみがうらは毎年悪天候だから大変」という多くの選手の懸念を吹き飛ばした。

目的、目標、感情、選手一人一人が考えていることが異なる中、「同じゴールに向かう」という想いが会場を一つにしていた。

 

写真2:10マイル女子B-21位を獲得した青木選手と伴走者山口さんがゴール後に抱き合う姿

10マイル女子B-2で大会新記録を更新し、1時間11分24秒で見事1位に輝いた青木洋子(NTTクラルティ)さんは「笑顔でゴールしたい」と大会前日に語ったように、ゴールした瞬間あふれんばかりの笑顔を見せてくれた。また、伴走者の山口遥さんと喜びを分かち合う姿が印象的で、見ているこちらが自然と笑顔になれるひとときだった。

写真3:5キロ女子B-31位だった松本光代選手のゴールの瞬間

フルマラソンの部、5キロの部も順々にスタートし、さらに会場は熱気で満ち溢れてきた。5キロ女子B-3で1位だった松本光代選手(JBMA)は記録20分05秒と自己ベストを更新し、大会新記録を叩き出した。1キロを4分ペースで走るなどの練習でスピードを強化して臨んだ今大会で力強い走りを見せた松本選手。「やはり目指しているところは東京2020。トラックシーズンに入るので1500で5分切りを目指したい」とさらなる目標を語ってくれた。また、自身の競技における目標だけでなく、東京2020に向け、「ブラインドマラソンは伴走者がいるからこそ、ゴールに向かうことができる。もっと気軽にたくさんの人に伴走をしてもらい、パラスポーツを身近に感じてほしい」と笑顔で話した。陸上競技は個人種目がほとんどの世界だが、ブラインドマラソンは選手と伴走者が「絆」というロープで物理的にも精神的にも繋がれる。「絆」でぎゅっと繋がれた手元を見れば、どんな競技よりもチーム力が問われることを感じ取ることができるだろう。初めてブラインドマラソンを見た筆者はゴールの瞬間、選手から伴走者に送られた「ありがとう」という言葉に目頭を熱くせずにはいられなかった。

写真4:国際盲人マラソン男子フルマラソンの部で優勝を掴み取った池永敦選手がゴール直後にガッツポーズをする姿

フルマラソンも終盤に差し掛かってきた午後、雨もすっかり止みランナーたちにとっては良いコンディションでラストスパートをかけることができた。

国際盲人マラソン男子フルマラソンの部で優勝を掴み取った池永敦選手(JBMA)はレース前に「楽しく走りたい」と目標を語った通り、楽しくレースに臨めたという。記録は2時間46分54秒と自己ベストを更新した。走っていて辛くなる時ももちろんあるそうだが、そんな時は「レースが終わったら何を食べようかなとか、お肉が食べたいなとか考えるんですよ(笑)」とチャーミングな一面も見せた。走りも人柄も魅力的な池永選手の今後のさらなる活躍から目が離せない。また、池永選手と同じフルマラソン男子B-2に出場し、2位に輝いた羽立祐人選手にもレース後話を聞くことができた。「あと少しという思いだ」とゴール瞬間を振り返った。前回はリタイアしてしまい、今回も完璧なコンディションで挑めなかったというものの、ラストスパートの力強い走りは目を惹くものがあった。「様々な環境に耐えられる体作りをしていきたい」と意気込むように、次戦では自身の持つ力を最大限に発揮してもらいたい。

写真5フルマラソン男子B-2 2位の羽立佑人選手と後半伴走の橋亮介さんがゴールする場面

盲人フルマラソン女子の部では井内菜津美選手(わかさ生活)が自己ベストを更新し、3時間23分31秒で見事優勝に輝いた。「前半は勢いを持って走れた」と井内選手が話す中、「菜津美さんの勢いをすごく感じられたので、それを殺さないように走った」と前半伴走者の日野美奈子さん。ドリンクを取るなど一つ一つの小さな行為も集中して行っているそうだ。そういった心遣いや応援の気持ちが自己ベスト更新に繋がったのだろう。後半伴走者の鈴木洋平さんは「しんどくなった時にいかに諦めずに走ることができるかが大切」と話す。井内選手も「狙っているタイムが出せると思っている時は頑張れる。それが難しくなってきた時からどう踏ん張れるかが今後の課題だ」とレースを振り返る。井内選手のような若手選手が好成績を残せると日本のブラインドマラソン界は明るい。しかし、3人とも口を揃えて「もっとタイムを縮めて、上を目指していきたい」と次戦に向けて意気込んだ。これからの井内選手たちの成長が楽しみで仕方ない。

写真6フルマラソン女子B-1で優勝した井内菜津美選手と伴走者日野美奈子さん・鈴木洋平さんが笑顔で表彰式を迎えた場面

『OneSky.~おなじ光、風、思い。~』かすみがうらマラソン兼国際盲人マラソンはまさにこの言葉を体現していた。選手、伴走者、観客、地元の人、ボランティア…全ての人が同じ空の下で1つになっていた。

健常者も障がい者も関係なく、1つのゴールを目指す姿に終始心が惹かれた1日であった。まだブラインドマラソンを見たことがない人には是非大会に足を運んでもらいたいと思う。1度見ればブラインドマラソンの虜になるにちがいない。伴走練習会なども身近に行われているので是非気軽に参加し、ブラインドマラソン、パラスポーツを身近に感じてもらいたい。

記事・写真 慶応スポーツ新聞会 前田さつき

 

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