「暑さを乗り越え、懸命に走りきる」~各々の目標に向かって~
気温32℃という過酷な環境のなかで行われた第23回関東パラ陸上競技選手権大会。今年は6月30・7月1日に町田市立陸上競技場で行われた。10月にインドネシア・ジャカルタで開催されるアジアパラに向けて重要な大会となった。
男子1500mでは唐澤剣也、加治佐博昭(ともにJBMA)、堀越信司(NTT西日本)、立木勇弥(学習院大学)が出場した。唐澤と加治佐が出場したT11組では唐澤が終始先頭で引っ張るレース展開となった。後半記録が落ちるのが課題だった唐澤は終始同じペースで走りきりその課題を克服。好記録が期待された。しかし、最後の最後に落とし穴が待っていた。競技者が伴走者より先にゴールしなかったため唐澤は失格となった。唐澤は「結果としては失格だったが、4分16秒台で走れた」と自己ベストを更新するような走りを披露出来たことには満足そうだった。
失格となるも自己ベスト級の走りを披露した唐澤剣也
加治佐は午前中に10000mを走り切ったあとに迎えた1500mのレースだった。「5分07秒が目標」と意気込んだが記録は5分13秒71だった。故障が癒えたあとのレースだったこともあり、2種目を走り切れたことに「ホッとした」と加治佐は振り返った。「自分が走れなくなるまで走りたい」と走ることが大好きな44歳。東京パラリンピックの強化選手としてこのまま残れるようにさらに状態を上げていきたい。
同日に10000mを走り疲れもあるなか、無事ゴールした加治佐博昭
堀越は今年2月に足を痛め、1か月間走れなかった。その影響もあり「4分10秒を切る」目標を掲げるも、惜しくも4分13秒48だった。走り方を少しずつ変えつつある堀越。今後については「8月26日に行われる北海道マラソンでしっかり記録を狙っていきたい」と東京パラリンピックマラソン代表を見据えて走る。
マラソンに向けて、好記録が期待できる堀越信司
大学生ランナーの立木は「入りから71秒のペースを作ることが出来なかった」と語るように終始記録は伸びず、5分00秒30だった。立木は「練習不足」と悔しさを語った。
今季から学習院大学に入学した立木。朝練が通学の関係でできないことや、自主練習が出来ない環境になった。5000mにも出場していたためその練習に偏りすぎて、1500mの練習が十分できなかった。今後の課題は緊張に弱いこと。大舞台でプレッシャーに負けないために、まずは練習の質を上げ、新しい環境に慣れていきたい。
終始レースのペースが上がらなかった立木
4選手ともに、課題はあったが、手ごたえは感じていた。これからの厳しい夏を乗り越え、より力強くなった選手たちが見れることを期待したい。
文章・写真 スポーツ法政新聞会 藤原 陸人
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