朝は雨が降り、昼頃から暑さに見舞われるという不安定な天気の中、北海道マラソン2019が開催された。この大会はブラインドランナーにとって、東京2020パラリンピックの出場の選考を兼ねている重要な大会の1つであった。4月に行われたマラソン世界選手権(ロンドンマラソン)では、男子は堀越選手、女子は道下選手が東京パラリンピック出場の推薦内定を得た。これに加えて、今回の北海道マラソンと来年2月の別府大分毎日マラソンの結果を考慮して、男女それぞれ3名ずつの選手が東京パラリンピックの推薦権を獲得する。
大会前日、選手に話を聞いたところ、暑さ対策に力を入れてきたという声が多かった 。近年関東で猛暑日が続く中で、1年後に控えている大舞台を制覇するには、やはり暑さ対策が必要であると感じているようだった。
当日の朝は雨が降り、暑さを感じさせない天気であったが、昼頃から強くなってきた日差しに苦戦した選手もいたようだ。3位に入賞した青木選手は、「後半の暑さがきつかった。水分をこまめに摂ることを意識した。」とレース終了後に話した。
また、前半の雨は、伴走者にとって難しいコンディションだったようだ。伴走者にとって1番大切なことは、選手の安全確保だ。雨で滑りやすい道を選手が安全に走れるよう、誘導しなくてはならない。雨で濡れたマンホールや水たまりを避けるために、走りながら進路変更を行っていた伴走者も多いだろう。いつも以上に、伴走者の責任感が問われるレースとなった。
大会前日、選手に話を聞いたところ、暑さ対策に力を入れてきたという声が多かった 。近年関東で猛暑日が続く中で、1年後に控えている大舞台を制覇するには、やはり暑さ対策が必要であると感じているようだった。
当日の朝は雨が降り、暑さを感じさせない天気であったが、昼頃から強くなってきた日差しに苦戦した選手もいたようだ。3位に入賞した青木選手は、「後半の暑さがきつかった。水分をこまめに摂ることを意識した。」とレース終了後に話した。
また、前半の雨は、伴走者にとって難しいコンディションだったようだ。伴走者にとって1番大切なことは、選手の安全確保だ。雨で滑りやすい道を選手が安全に走れるよう、誘導しなくてはならない。雨で濡れたマンホールや水たまりを避けるために、走りながら進路変更を行っていた伴走者も多いだろう。いつも以上に、伴走者の責任感が問われるレースとなった。
写真1:ゴール後、喜びを分かち合う青木選手と伴走者の高田さん
このようなコンディションの中で、上手く天候に対応して乗りきった選手が、道下選手と西島選手だ。道下選手は、「北海道の気候は変わりやすいことを毎年の経験で知っていたので、十分な準備をしてきた。自信を持って走ることができた。」と笑顔で答えた。3回目の北海道マラソン出場ということで、今までの経験を生かし、北海道の気候に十分な準備をしたことが、勝利へつながったのではないだろうか。前半伴走者 青山さんの話によると、決して走りやすい気候とは言えなかったようだが、そのような環境で勝利できることは強みであろう。
道下選手は、大会終了後のインタビューで、今後は12月の防府読売マラソンでの自己ベスト更新を目標としていることを宣言していた。防府読売マラソンが開催される山口県の気候にも、上手く対応してくることが期待される。
一方、西島選手は、後半伴走者 鍵 さんの話によると、水たまり等を避けるための進路変更にも適切に対応していたようだ。「西島選手はコース変更に対する切り替えが早く、スムーズに走ることができた。」と答えた。障害物を避ける走りに柔軟に対応したことが、女子2位という結果に結びついたのではないかと思う。また、西島選手自身は「雨風が気持ちよかった。」と話しており、雨であることがマイナスには働いていなかった様子がうかがえた。伴走者と選手が息を合わせて走ることの大切さを実感した。
大会当日の8月25日は、鍵さんの誕生日であったそうだ。「(2位入賞できたことで)よい誕生日になった。来年は東京パラリンピックの開会式の日になるため、出場を目指してこれからも頑張っていきたい。」と嬉しそうに言っていた。また、鍵さん自身も陸上競技をやっており、「自分だけで走っている時はオリンピックを目指せなかったが、伴走者という立場でブラインドマラソンに関わることで、パラリンピックという大きな舞台を目指せることに感謝している 。」とも答えてくれた。また、西島選手は大会前日のインタビューで「東京パラリンピックを目指したい」と答えるように、出場を意識していた。
障がい者だけでなく、健常者にも夢を与えてくれるところがブラインドマラソンの魅力であるということを実感した。
今回の大会で西島選手は2位に入賞したことで、来年の東京パラリンピックの推薦が内定した。来年の8月25日、パラリンピックの開会式の舞台にいるかもしれない。
写真3:ラストスパートをかける西島選手と伴走者の鍵さん
今回、ブラインドの女子の選手の平均年齢は約45歳であるが、私と同世代である20代の選手も出場していた。その一人が、和木選手だ。大会前日にお話しを聞くと、「腰の高さや歩幅について意識しながら練習してきた。3時間40分台を目指して走りたい。」と意気込みを語ってくれた。結果は3時間59分台と目標には届かなかったが、同世代が頑張っている姿に励まされた。私も自分が頑張っている姿で、周りを応援できるような人になりたいと思った。
写真4:10km地点で、前へ前へと進む和木選手
記事・写真 東京農業大学 田中 志穂