先月25日、北海道マラソン2019が札幌市中央区の大通公園を中心に行われた。今大会は東京パラリンピックのブラインドマラソンの代表推薦選手選考大会。2020年に行われる東京パラリンピック開幕までちょうど1年という日に開催された。男子視覚障がいIPC登録者に限ると、11名が走り、熊谷豊(32=三井住友海上)が2時間32分20秒の2位で東京パラリンピック代表推薦選手に決まった。今大会の優勝は高井俊治(32=D2C)で2時間30分54秒。自己ベストを3分32秒縮める快走をみせた。
自己ベストを大幅更新!!スピードに磨きをかけ高井優勝!!
時々強い雨風が吹くなど変わりやすい天気の中、自己ベストを更新した。「『よくやった!』と言われました」。高井はゴール後、安田享平ブラインドマラソン協会強化委員長から声をかけられると、笑顔が弾けた。
「スタートラインに立った時には自己ベスト狙える自信があった」と好走を続け、2位以下を突き放した。高井はマラソンでは東京パラリンピックには出場できない。自身のクラスのT13は東京パラリンピックの競技にはないためだ。現在T13クラスの5000mで東京パラリンピック出場を目指している。「5000mは苦手意識があった」と語るが、5月の第61回東日本実業団陸上競技選手権大会でアジア記録を更新した(15分44秒29)。強みである持久力に加えて、スピードも武器となった。北海道に行く前に地元・徳島県のサウナと温泉で疲れを取り、大会前夜は鰻で精をつけた。自分の力を100%出せる状態に調整したことで得た自信を持ってレースに挑んだ。
写真2:見事優勝した高井選手
東京パラリンピックでは出られない種目で出場をするモチベーションは何なのか。高井は「走るのが好きだから」と語る。競技は違うが、マラソンと5000mはお互いに活かせる点があることもモチベーションにつながっている。「ブラインドマラソンはスピード化している。スタミナがあるだけでは無理。スピードがないと対応していけない。トラックの練習は普段から大事だと思う」とマラソンでパラリンピックに出られないことを悲観してはいない。
写真3:大会後笑顔をみせる高井(左)と安田ブラインドマラソン協会理事強化委員長(右)
目標は5000mを14分台で走り東京パラリンピックでメダルを狙うこと。マラソンでは2時間30分切りを目指すことだ。「40kを超えて『2時間30分いける』と言われたが、ペースダウンしてしまった」と優勝しながら悔しさもみせた。「他の強化指定選手と切磋琢磨して頑張ってきている。また良い刺激を選手たちに与えられる走りがしたい」。持久力に加えスピードという新たな武器を得た高井が次なる高みを目指す。
写真4:表彰式でメダルを授与される高井
記事・写真 法政大学 藤原 陸人
PART2は12日に掲載いたします。お楽しみに。