伴走者養成研修・視覚障がい者マラソン研修会が静岡県掛川市「つま恋 彩の郷」にて行われた。今回の研修は、ブラインドマラソンのクラス分けや競技規則、伴走理論、そして伴走実技講習など初心者でも競技について理解関心が深まる内容だった。
来年には、東京パラリンピックの開催が迫っていることもあり、ブラインドマラソンも注目されている種目の一つである。現在、男子は堀越選手と熊谷選手、女子は道下選手と西島選手が東京パラリンピックの推薦内定を獲得している。
そもそもブラインドマラソンとはどのような競技なのだろうか。ブラインドマラソンとは、ブラインドランナーと伴走者が数十cmの紐またはロープを互いに持って走る競技である。伴走者はただ隣を走るというだけでなく、ブラインドランナーに他の選手の状況や周りの状況、走路の状態、タイム等を知らせたり、ブラインドランナーのペース配分や体調に変化がないか観察したりする役割を担っている。伴走者が求められていることは、ブラインドランナーと手足の動きを揃えて走ることである。伴走者はあくまでもアシスタントであるため、ブラインドランナーの手をひっぱったり、先にフィニッシュラインを通過したりする行為は反則になる。
はじめに、障がい者介助方法や伴走理論、競技規則について講義を受けた。実際にブラインドランナーとしてマラソンに参加したことのある方の話や、伴走研修会でのアクシデントなど実体験に基づく生の話を伺った。
伴走実技講習では、講義内容で得た伴走法を試した。最初は、ペアのブラインドランナーの動きに合わせようと意識して走っていた健常者も、次第に相手の走るペースや動きを把握し、意識的に合わせようとしなくても二人の動きがぴったり重なるようになった。また、実技講習の締めくくりとして、クーパーテスト(12分間走)¬¬も行なった。その際、スタートラインにラジオを設置し音楽を流すことで、ブラインドランナーも自分がどれくらいの距離を走ったのか、周回が把握できるように配慮されていた。
今回の研修会には、過去にパラリンピックを経験したことのあるパラリンピアンから全くの初心者まで総勢27名が参加した。研修会での食事は、バイキング形式だったこともあり、ありのままの生活を見聞きすることができた。そして、視覚障がい者がどのようなサポートを一番求めていて、どのように声をかけたら良いのか、考えるより先に行動できるようになった参加者が増えたのではないかと思う。
ブラインドマラソンにおける伴走者養成が今回の研修会の主な目的だったが、この二日間の研修を経て得られたものは伴走知識だけではない。障がいの有無に関わらず、街で見かけた困っている人に迷わず手を差し伸べる勇気と率先力を養うことができたと思う。
記事・写真 Nonno Nishikawa
この事業は日本財団パラリンピックサポートセンター助成事業として実施いたしました。