パラリンピック前の最後の一戦。
2月2日(日)に大分県にて、第69回別府大分毎日マラソンが開催された。
昨年4月に行われたマラソン世界選手権(ロンドンマラソン)、8月に行われた北海道マラソンに続く、パラリンピック出場権の内定をかけた選考レースだ。本大会をもって推薦内定者が最終決定する。
昨年12月に行われた防府読売マラソンで好記録を出した選手も多くおり、周囲の期待は一層高まっていた。多くのメディアもブラインドランナーの様子について報じた。
前日に行われた記者会見では、男子は堀越信司選手、岡村正広選手、山下慎治選手、女子は道下美里選手、青木洋子選手、近藤寛子選手の計6名が出席した。大会前日ではあるが、終始和やかな雰囲気だった。また、テレビ放送についても多くの選手が触れていた。特に、関西地域で、視覚障がいを持つランナーのゴールの様子が放送されないことを残念がっていた点が印象的だった。テレビ局の都合もあるが、関西地域でもブラインドマラソンを応援する輪が広がってほしいと感じた。
当日、1番にゴールテープをきったのは、男子の堀越信司選手(T12、NTT西日本)。
「距離走をベースにした練習を行っているが、今回は少なかった。応援の声を力にして、今できることをしっかりやりたい。」と前日に語っていた。6㎞の給水地点でテーブルに激突するといったアクシデントもあったが、言葉通、今できる力をしっかり発揮した。ここ最近は故障で苦しんでおり、昨年8月に行われた北海道マラソンでは途中棄権する場面もあった。パラリンピックまで残り約7ヶ月。最高の結果を出せるよう、さらにコンディションを整えていく。
2月2日(日)に大分県にて、第69回別府大分毎日マラソンが開催された。
昨年4月に行われたマラソン世界選手権(ロンドンマラソン)、8月に行われた北海道マラソンに続く、パラリンピック出場権の内定をかけた選考レースだ。本大会をもって推薦内定者が最終決定する。
昨年12月に行われた防府読売マラソンで好記録を出した選手も多くおり、周囲の期待は一層高まっていた。多くのメディアもブラインドランナーの様子について報じた。
前日に行われた記者会見では、男子は堀越信司選手、岡村正広選手、山下慎治選手、女子は道下美里選手、青木洋子選手、近藤寛子選手の計6名が出席した。大会前日ではあるが、終始和やかな雰囲気だった。また、テレビ放送についても多くの選手が触れていた。特に、関西地域で、視覚障がいを持つランナーのゴールの様子が放送されないことを残念がっていた点が印象的だった。テレビ局の都合もあるが、関西地域でもブラインドマラソンを応援する輪が広がってほしいと感じた。
当日、1番にゴールテープをきったのは、男子の堀越信司選手(T12、NTT西日本)。
「距離走をベースにした練習を行っているが、今回は少なかった。応援の声を力にして、今できることをしっかりやりたい。」と前日に語っていた。6㎞の給水地点でテーブルに激突するといったアクシデントもあったが、言葉通、今できる力をしっかり発揮した。ここ最近は故障で苦しんでおり、昨年8月に行われた北海道マラソンでは途中棄権する場面もあった。パラリンピックまで残り約7ヶ月。最高の結果を出せるよう、さらにコンディションを整えていく。
写真1:表彰式で表彰を受ける堀越選手
次に競技場へ入ってきたのは、高井俊治選手(T13、D2C)。トラックとマラソンならどちらが好きかという問いには、「マラソンの方が好き。」と答えていた。残念ながらT13クラスはパラリンピックでマラソンが実施されないため、トラック競技での出場を目指す。
ちなみに、一番好きなマラソン大会は北海道マラソンだそうだ。昨年は、視覚障がい者男子の部で優勝した。しかし、今年はオリンピックのマラソンが札幌で開催される影響で、中止が決定している。この別府大分毎日マラソンは、一昨年出場したが、2位という結果だった。今回再び2位だったことに、悔しさをにじませていた。
大好きなマラソンでパラリンピックを目指すことは叶わず、北海道マラソンも今年は中止。なかなか良い条件には恵まれないが、それでも「マラソンを走ることで他の選手に刺激を与えたい。」と競技に前向きに取り組んでいる。そして、高井選手の一番魅力的なところは、誰よりも礼儀正しいところだ。取材で声をかけると、必ず「いつもお世話になっています。」と高井選手の方からも声をかけてくる。パラリンピックで花開くよう、これからも応援していきたい。
ちなみに、一番好きなマラソン大会は北海道マラソンだそうだ。昨年は、視覚障がい者男子の部で優勝した。しかし、今年はオリンピックのマラソンが札幌で開催される影響で、中止が決定している。この別府大分毎日マラソンは、一昨年出場したが、2位という結果だった。今回再び2位だったことに、悔しさをにじませていた。
大好きなマラソンでパラリンピックを目指すことは叶わず、北海道マラソンも今年は中止。なかなか良い条件には恵まれないが、それでも「マラソンを走ることで他の選手に刺激を与えたい。」と競技に前向きに取り組んでいる。そして、高井選手の一番魅力的なところは、誰よりも礼儀正しいところだ。取材で声をかけると、必ず「いつもお世話になっています。」と高井選手の方からも声をかけてくる。パラリンピックで花開くよう、これからも応援していきたい。
写真2:表彰式でトロフィーを受け取る高井選手
男子の3位となったのは、昨年12月に行われた防府読売マラソンで優勝を飾った山下慎治選手(T12、シーズアスリート)。パラリンピック出場内定に必要な2時間33分49秒にはわずかに及ばず、2時間34分05秒でゴールした。悔しさが残ったものの、自己ベストを約5分更新する素晴らしい走りだった。
前回の防府読売マラソン後からは、強度を上げた練習を重ねてきた。
後半ガイドの野本哲晃さんによると、今までよりも速い設定タイムで走ることができているそうだ。最近の好調について理由を聞いてみると、今まで積み重ねてきた練習の結果がでているのではないか、と山下選手は述べた。「タイムは1秒でも速く。」という言葉をスタート前に口に出すほど、パラリンピックへの思いは誰よりも強い。
後半ガイドの野本哲晃さんによると、今までよりも速い設定タイムで走ることができているそうだ。最近の好調について理由を聞いてみると、今まで積み重ねてきた練習の結果がでているのではないか、と山下選手は述べた。「タイムは1秒でも速く。」という言葉をスタート前に口に出すほど、パラリンピックへの思いは誰よりも強い。
5㎞を約18分で走ると、折り返しの10㎞~15㎞ではさらにペースを上げ、15㎞以降はまた5㎞ごとに約18分のペースを刻んだ。ただ、30㎞~35㎞で少しペースが落ちた。練習も上手くいっており、コンディションがよかっただけに、パラリンピック出場内定に必要なタイムに届かなかったことについて、山下選手は悔しい思いを口に出していた。
大会終了後にインタビューをしていると、野本さんと山下選手が楽しそうに掛け合いをしている様子が印象的だった。野本さんは、1月の週末は全て山下選手との練習に費やしていたそうだ。2人とも笑顔で話している様子を見て、なんでも言い合える関係が、記録更新につながっているのではないかと感じた。さらに、山下選手を支えるのは、練習で伴走を務める人達が集まる「チーム山下」の存在だ。まだまだ成長中の山下選手。これからの結果にも期待していきたい。
写真3:池澤ガイドから野本ガイドへの伴走の引継ぎ。左から、山下選手、野本ガイド、池澤ガイド。
男子では、他にも自己ベストを出した選手がいる。唐澤剣也選手(T11、群馬社福事業団)である。2017年の第48回防府読売マラソンで出した自己ベストを10分以上上回る、2時間36分54秒という記録でゴールした。前回の自己ベストを出した時と同じく、星野和昭さんと茂木洋晃さんがガイドを務めた。
唐澤選手は、5000mでのパラリンピック出場に内定している。後半の伴走者を務めた茂木さんは、昨年の11月に行われた世界パラ陸上に唐澤選手と共に出場し、東京パラ出場の内定を得た。茂木さんが伴走を始めたきっかけは、通っていた治療院の先生に誘われたことだそうだ。大学時代は陸上部で選手として走った後、現在は伴走者として活躍している。
パラリンピックに向けて、さらなる高みを目指していく。
パラリンピックに向けて、さらなる高みを目指していく。
写真4:星野ガイドから茂木ガイドへの伴走の引継ぎ。左から、星野ガイド、茂木ガイド、唐澤選手。
PART2へ続く。
記事・写真 東京農業大学 田中 志穂