WEBサイトのMELOSでは「わたしと相棒〜パラアスリートのTOKYO2020〜」と題して、パラアスリートと支える人にスポットを当てて紹介しています。今回、道下美里選手とガイドの河口恵さんのインタビュー記事が掲載されました。
全部で3本の連載記事となり、その第1弾となります。
記事はこちらから、ご覧ください。
画像:ガイドの河口さん(左)と道下選手
WEBサイトのMELOSでは「わたしと相棒〜パラアスリートのTOKYO2020〜」と題して、パラアスリートと支える人にスポットを当てて紹介しています。今回、道下美里選手とガイドの河口恵さんのインタビュー記事が掲載されました。
全部で3本の連載記事となり、その第1弾となります。
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画像:ガイドの河口さん(左)と道下選手
『パラリンピック種目であるブラインドマラソンを学び体験する』ことを目的として、8月5日、東洋大学川越キャンパスにおいて、標記の体験会がありました。川越市民を対象として、市内在住の児童、保護者など40名ぐらいの参加がありました。また、東洋大学陸上競技部長距離部門コーチであり、今回の体験会の講師でもある谷川嘉朗コーチの積極的な働きかけもあり、陸上競技部の学生も30~40名の参加がありました。
ブラインドマラソン協会からは、世界大会でも活躍したT11クラスの安部直美さんと伴走者の成田フサイさん、トラック競技T13クラスの松本光代選手、そして理事の泉が参加しました。
初めは講義室でリオパラT11クラス、男子100m決勝の映像を見てもらいました。ゴールタイムは10秒99です。昨年、東洋大学在学中に9秒98の日本新記録を樹立した桐生祥秀選手との比較でブラインド種目の競技のレベルの高さを感じてもらいました。
続いて安部さんと成田さんに体験を話してもらいました。3時間18分07秒のタイムを持つ安部さん、そして、その競技生活を長い間支えてこられた成田さん、お二人の頑張り、信頼関係や尊敬の思いが、参加者の皆さんに伝わっていきました。
泉にバトンタッチして、まず白杖の役割や電車の駅が視覚障がい者のためにどんな設備がされているかを子供達に考えてもらいました。続いて、ブラインドマラソン協会の初代会長である杉本博敬さんが設立したいきさつやノーマライゼーションを目ざしている協会の活動、2020東京パラでメダル獲得を目標に選手強化がなされていることを話しました。また、一概に視覚障がいと言っても様々な見え方があることを習字の半紙を利用して体験してもらいました。
次に、広い陸上競技場に出て、トラックの内側の芝生に5グループに分かれて活動しました。
初めはブラインド体験です。約15m離れたコーンが目標で、アイマスクをつけて歩きました。皆さん慎重に神妙に歩いています。うまくコーンにたどり着いた人もいましたが、ほとんどの人は大きくそれたり、手前で止まったり、ずっと行きすぎたりという感じでした。見えない状態で移動することの難しさや怖さを感じたようです。
次に、東洋大学がこの日のために用意してくれた大学のロゴ入りのガイドロープを使い、二人一組になり、アイマスクをつけた人を誘導するガイド体験です。小学生と大学生がコンビとなり、仲良く活動する様子も見られました。ここで安部さんと成田さんに走ってもらいました。「足がそろっている」「腕の振りがきれい」・・・・みんな感心しながら見ていました。今度は走る体験です。二人三脚をイメージしながらゆっくり走りました。ぎこちなさはありましたが、皆さん熱心にブラインドマラソンの体験をしてくれました。
もう少し、深めたいところもあったのですが、何しろ猛暑の中での運動です。途中2回ほど給水タイムを入れながら、約1時間の屋外活動でした。
そして、まとめ。安部さんと成田さんの走りを近くで見ておられた谷川コーチは、「芝生のちょっとした凹凸までも成田さんは安部さんに伝え、安部さんはハイと言葉で答えていました。絶えずコミュニケーションをとっている姿に感動しました」と話してくれました。伴走の体験を通しランニングの喜びが増し豊になること、視覚障がい者の方が困っているような場面に出合ったら「何かお手伝いすることありますか」と勇気を持って声をかけてほしいことを話して体験会を終えました。参加者の笑顔を沢山見ることができた体験会でした。
文責:日本ブラインドマラソン協会 理事 泉 富夫
ただただ楽しかった。
これが帯同させていただいた身として正しい感想なのかはわからないが、5日間過ごした素直な思いを述べるならば私はこう答える他ない。
今回私は広報インターンの身でありながら、北海道・北見で行われたJBMA強化合宿に5日間帯同させていただいた。3年目を迎えた広報インターン活動の中でも、長期合宿帯同は初めての体験だ。強化指定選手の競技力向上のため、7月3日(火)~10日(火)の全7泊8日の日程で行われたこの合宿は、記録会と40キロを超える距離走をそれぞれ二度ずつ行うなど非常にハードな内容。毎年恒例のメニューだそうだが、行程表を初めて見たときは相当過酷なメニューに正直驚いてしまった。
合宿参加者は、男女各3名の選手、伴走者6名、JBMAスタッフ2名、JSCからフィジカル、メンタルをケアするトレーナーが2名、そして私の計17名。全メンバーが同じ宿泊先に滞在し、同じ時間を過ごす。
合宿初日。午後4時前には全員が宿舎に到着し、軽くミーティングを済ませると選手たちは翌日のホクレンディスタンスチャレンジ・網走大会に向け各自調整のジョギングへ向かった。ストレッチや器具で体をほぐしてジョグに向かう背中を見送り、空を見上げると少し霧がかった曇り空で気温は20℃ほど。猛暑の東京に慣れていた体には少し肌寒いくらいだった。その後はそろって夕食。美味しいごはんに会話が弾み、とても楽しい食卓だった。実はまだ緊張気味だった私にも、皆さんがたくさん話しかけてくださり、優しさとうれしさも一緒に噛みしめていたことはここだけの話だ。
合宿中一度目の記録会、ホクレンディスタンスチャレンジ・網走大会が午後に控える2日目。朝9時の段階で気温は10℃、雨が降ったりやんだりの不安定な天気だった。早朝のうちにコンディションチェックと朝練習を終え、朝食後は各自試合に向けたフリー時間。選手たちは各々準備を進める。昼食時にはJBMA安田享平強化委員長から、記録が狙える気象条件であることや、ブラインドマラソンという競技を陸上界全体に浸透させるためにもこの競技会は重要な意味を持つことなどが伝えられた。というのも、日本陸連が主催しているホクレンディスタンスチャレンジには毎年多くの強豪実業団や大学が参加しており、この場に集まるのは陸上関係者ばかり。ブラインドマラソン種目の魅力や競技力の高さをアピールするには絶好の場なのだ。
選手たちからも目標タイムの発表があり、昼食を終えると競技場へ。レースについては既にアップしていただいた記事に代えさせていただくが、私個人としては久しぶりに間近で見るレースに、「やっぱりかっこいいなあ」と見惚れながらカメラのシャッターを切っていた。
レース翌日の3日目のメニューはなんと、40~48キロの距離走だ。宿舎から車で10分ほどの能取湖の周りを囲むサイクリングロードを利用して設置された往復8キロの直線コース。ここを5~6往復する。聞くだけでも気が遠くなりそうなハードさだが、そこに拍車をかけたのがこの日の天候だった。7月にもかかわらず、最高気温が9℃という寒さに加え、しとしとと降り続ける雨が容赦なく体温を奪っていく。深い緑の木々に囲まれた湖畔のコースは、雨に濡れどこか神秘的な雰囲気さえまとう綺麗な場所だった。その中を、各々の設定ペースで走り続ける選手たち。そこにはタッタッという足音だけが響いていた。練習後寒くなかったか選手に尋ねると、走っていると丁度よかったとのこと。そういうものなのか…。
距離走から戻り、入浴や食事を済ませた後には前日の網走大会を振り返る時間が設けられた。陸連が公開しているレースのライブ映像を見ながら、各自の課題を探していく。伴走者との連携はどうか、どこから動きが崩れていったのか、北見大会までにどう改善するか。互いに意見を出し合う姿を見て、伴走者がつく場合は特にだが、意思疎通が本当に重要な競技であるということを改めて感じた。
休養日を挟み、迎えた合宿5日目。二度目の記録会、ホクレンディスタンスチャレンジ・北見大会当日だ。相変わらず天気はすっきりしないものの、走るには適したコンディション。しかし距離走やここまでの合宿で蓄積された疲労の影響が気になるところだ。レースは男女一斉に午後3時にスタートした。この大会で日本記録の更新も狙っていた和田伸也選手(T11、長居WIND)は「3000m通過が網走大会と同じくらいになってしまい、そこからずるずると落ちてしまった」と反省点を述べたものの16分02秒26のトップでゴール。網走大会で見られた伴走者との連携ミスを完璧に修正していたのが印象的だった。女子トップは19分42秒69の道下美里選手(T12、三井住友海上)。3000~4000mの中盤に見られたペースダウンが響き、タイムを上げきることができなかった。レース後道下選手自身も「応援が力になったがタイムが良くなく悔しい」と無念をあらわにしていた。
「楽しかったな」。
レースを見届け一人空港に向かう道中でも、飛行機の中でも、そしてこの記事を書いている今でも、ひたすらにそう思っている。アスリートの顔をしてウォーミングアップに向かう姿も、トラックの上を走り抜ける姿も、静かな湖畔のコースに響く足音や呼吸も、みんなでニュースを見ながら食べた朝ご飯も、たくさん話をして笑いあった夜ご飯も、一番近くで一緒に過ごさせてもらった時間が、そのすべての経験が、本当に楽しかった。5日間お世話になった皆さんに本当に感謝の意を表したい。そしてやっぱりこの競技を、そこで輝く選手たちを、もっと多くの人に知ってほしい。私にもできることがあるのならば、少しでも貢献していきたい。そんな思いが一層強くなった日々だった。
文章・写真 広報インターン 太田萌枝(早稲田大学)
7月31日、スポーツ庁主催によるスポーツ功労者等顕彰・表彰式が実施されました。
昨年度、各競技の世界選手権等において優秀な成績を収めた選手及びその指導者や選手を多年にわたり支援した団体等に対して、文部科学大臣がその功績を讃えるものです。
今回の顕彰・表彰において、ブラインドマラソン協会から昨年4月に行われたWorld Para Athletics(WPA)Marathon World Cupの男子T12/T11クラスで優勝した和田伸也選手、女子T12/T11クラスで優勝した道下美里選手、両選手の指導者として、安田享平コーチが顕彰を受けました。
次年度も表彰を受けることができる選手の育成を目指して、日々の強化活動に尽力していきます。 ご声援よろしくお願い致します。
写真:表彰された安田コーチ(左)と道下選手(右)
すっかりお馴染みでしょうか。
小学館 ビッグコミック連載中『ましろ日』の第4集が7月30日発売となります。
まだお読みになったことがない方はビッグコミックBROS.NETから第4集の試し読みができますので、ぜひご覧ください。こちら。
ぜひ、お手に取ってご覧ください!
道下美里選手のインタビュー記事がパラリンピックサポートセンターのHPに掲載されました。
2016リオから2020東京に向けた道下選手の心境が語られています。
記事はパラサポのHPをご覧ください。こちら。
7月7日、8日に開催された2018ジャパンパラ陸上競技大会のレポートが日本障がい者スポーツ協会のHPに掲載されました。国内選手についての記述は少ないですが、世界のトップアスリートが参戦した大会の様子をお読みください。
JPSAのレポートはこちらです。
「暑さを乗り越え、懸命に走りきる」~各々の目標に向かって~
気温32℃という過酷な環境のなかで行われた第23回関東パラ陸上競技選手権大会。今年は6月30・7月1日に町田市立陸上競技場で行われた。10月にインドネシア・ジャカルタで開催されるアジアパラに向けて重要な大会となった。
男子1500mでは唐澤剣也、加治佐博昭(ともにJBMA)、堀越信司(NTT西日本)、立木勇弥(学習院大学)が出場した。唐澤と加治佐が出場したT11組では唐澤が終始先頭で引っ張るレース展開となった。後半記録が落ちるのが課題だった唐澤は終始同じペースで走りきりその課題を克服。好記録が期待された。しかし、最後の最後に落とし穴が待っていた。競技者が伴走者より先にゴールしなかったため唐澤は失格となった。唐澤は「結果としては失格だったが、4分16秒台で走れた」と自己ベストを更新するような走りを披露出来たことには満足そうだった。
失格となるも自己ベスト級の走りを披露した唐澤剣也
加治佐は午前中に10000mを走り切ったあとに迎えた1500mのレースだった。「5分07秒が目標」と意気込んだが記録は5分13秒71だった。故障が癒えたあとのレースだったこともあり、2種目を走り切れたことに「ホッとした」と加治佐は振り返った。「自分が走れなくなるまで走りたい」と走ることが大好きな44歳。東京パラリンピックの強化選手としてこのまま残れるようにさらに状態を上げていきたい。
同日に10000mを走り疲れもあるなか、無事ゴールした加治佐博昭
堀越は今年2月に足を痛め、1か月間走れなかった。その影響もあり「4分10秒を切る」目標を掲げるも、惜しくも4分13秒48だった。走り方を少しずつ変えつつある堀越。今後については「8月26日に行われる北海道マラソンでしっかり記録を狙っていきたい」と東京パラリンピックマラソン代表を見据えて走る。
マラソンに向けて、好記録が期待できる堀越信司
大学生ランナーの立木は「入りから71秒のペースを作ることが出来なかった」と語るように終始記録は伸びず、5分00秒30だった。立木は「練習不足」と悔しさを語った。
今季から学習院大学に入学した立木。朝練が通学の関係でできないことや、自主練習が出来ない環境になった。5000mにも出場していたためその練習に偏りすぎて、1500mの練習が十分できなかった。今後の課題は緊張に弱いこと。大舞台でプレッシャーに負けないために、まずは練習の質を上げ、新しい環境に慣れていきたい。
終始レースのペースが上がらなかった立木
4選手ともに、課題はあったが、手ごたえは感じていた。これからの厳しい夏を乗り越え、より力強くなった選手たちが見れることを期待したい。
文章・写真 スポーツ法政新聞会 藤原 陸人
関東パラのリザルトはこちらをご覧ください。
『ましろ日』の視覚障がい者向けの特設サイトが更新されました。
第8光(話)から第15光までの原作シナリオが新規で公開されています。
視覚障がい者の方も漫画をお楽しみください。
特設ページはこちらとなります。
写真1:女子1500mで日本記録を更新した松本光代選手
夏の太陽が燦々と地面を照りつける7月1日、町田市立陸上競技場でWPA公認第23回関東パラ陸上競技選手権大会が開催された。
その中で私が注目したのは女子1500m。
気温が高く、選手たちにとってはなかなか厳しいコンディションでレースを迎えることとなった13時30分、T11~T13の4人の選手が一斉にスタートを切った。序盤は柏原未知選手(T13、one’s)が先頭に立ち、ペースを作る。その後ろをぴったりくっついて走るのは松本光代選手(T13、JBMA)。松本選手は「1周84秒で淡々と走る」という戦略を立て、レースに挑んだという。序盤は先頭のペースで少しハイペースになってしまったものの、中盤からは自身のペースを掴み、軽やかに一歩一歩前へ進む。「最後の一周は辛かったが、しんどいときこそ腕を大きく振って走った」と松本選手が語るように、ラストもペースを崩さずに見事なレースを見せた。記録は5分21秒30と日本記録を更新した。松本選手はレース後「やっと日本記録を更新できて嬉しい。今度はアジア記録を切れるように、そして世界で戦えるように頑張っていきたい」と更なる目標を掲げた。松本選手のゴール後、未来のエース安部遥選手(T12、筑波付属視覚)は自身の過去の記録を更新し、自己ベストでフィニッシュした。5分40秒を切ることを目標に掲げて挑んだ大会であったが、記録は5分35秒28と大きく上回る結果を残すことができた。安部選手は「ベストを出せて嬉しい。中学の時に5分35秒を切れたので、高校でもその記録を更新したい」と今後について話した。安部選手のような高校生ランナーは伸びしろが沢山あるので、今後の活躍が楽しみだ。
写真2:女子1500m安部遥選手と伴走者の佐藤寛哉さん
日本記録と自己ベストを更新した2人の後ろで悔しい思いをした選手もいた。
井内奈津美選手(T11、わかさ生活)だ。「5分半を切ろうと目標を立てていた。記録を狙うつもりが自己ベストよりもかなり遅くなってしまって本当に悔しい」とレースを振り返った。右肩上がりでトラックシーズンを駆け抜けていただけに、悔しい思いも人一倍大きかっただろう。しかし、ただ悔しくて落ち込むのではなく次戦に向けて前を、見据えていた。
「最初の1周で突っ込んでいって、いいペースを作ろうとしていた。しかし、こんなに高い気温でのレースは久々だったので力を使い果たしてしまった。悪いコンディションの中でどうやって走り抜くかは今日の大会でわかったので、今後に生かしていきたい」と冷静にレースの分析をしていた。伴走者の日野未奈子さんは「伴走者の力と選手の力は比例すると実感した。練習から奈津美さんのコンディションに合わせた声かけや、ペースのもっていき方を考え、私もしっかり走り込みたい」と意気込んだ。
これからは体力を奪い取る真夏の太陽がさらに輝きを強める季節となってくる。トラックシーズンも残りわずか。ゴールの後、太陽よりも輝く選手たちの笑顔を沢山見られることを願っている。
文章・写真 慶應義塾大学 前田さつき
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