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東京2020パラリンピック:メダルデザイン

東京パラのメダルデザインを紹介します。
メダルは、国際パラリンピック委員会の規定に基づき、「TOKYO 2020」の文字がおもて面に点字で表記されています。
また、金・銀・銅メダルの違いが触れて分かるよう、金メダルには1つ、銀メダルには2つ、銅メダルには3つ、円形のくぼみをメダル側面に施しています。このくぼみ加工は、大会史上初めての仕様となります。
 
コンセプト
「扇の要を中心として生み出される新しい風は人々に熱気を与え、また新たな風を生み出す原動力となる」 
人々の心を束ね、世界に新たな風を吹き込む「扇」をモチーフにしたデザインです。
扇を束ねる「要」部分は、人種や国境を越えて、人々の心を一つに束ねてくれるアスリート自身を表し、扇面には、人々の心を生命力として捉え、日本に生きる自然、岩・花・木・葉・水で表現しました。
 
メダルの獲得を目指して、競技力の向上に励んでいきます。ご声援、よろしくお願いします。

詳細は大会組織委員会のHPをご覧ください。動画での紹介もあります。こちらです。

 

OSAKA EKIDEN in長居2019 兼 第22回全国視覚障がい者駅伝大会:ゲスト紹介

11月4日に長居運動公園を会場として実施されるOSAKA EKIDEN in長居2019 兼 第22回全国視覚障がい者駅伝大会のゲストを紹介します。
今回は4名の方にゲストとして参加いただきます。
 
中山 竹通さん
不屈の天才ランナー
長野県出身 1959年12月20日 生まれ
1988年ソウル、1992年バルセロナの両オリンピックで共に4位入賞。2時間9分を4回も突破し決して妥協することなく競技に取り組み苦難に挑戦、克服してきた不屈の天才ランナー。
現在も市民マラソン大会のゲストランナーとして、多くのランナーたちに絶大な人気を誇っている。
 
増田 明美さん
日本最高記録12回、世界最高記録2回更新
千葉県出身、1964年生まれ。
成田高校在学中、長距離種目で次々に日本記録を樹立。1984年のロス五輪に出場。 92年に引退するまでの13年間に日本最高記録12回、世界最高記録2回更新という記録を残す。
2001年から10年間、文部科学省中央教育審議会委員を務める。
 日本パラ陸上競技連盟会長、日本陸上競技連盟評議員、日本障がい者スポーツ協会評議員、全国高等学校体育連盟理事。
 
栁川 春己 選手
アトランタパラリンピック金メダリスト
佐賀県出身 1956年1月24日 生まれ
生後6ヶ月で小児緑内障を発症し、8歳で視力を失う。
1990年のホノルルマラソンで初マラソンを経験し、以後ブラインドランナーとして日本人初の3時間突破を果たした。日本のブラインドマラソン界を長年にわたり牽引し、アトランタパラリンピックで日本人初の金メダルを獲得。
 現在もブラインドマラソンのレジェンドとして各地の大会に参加、理解者を広めている。
 
竹澤 健介さん
2007大阪世界陸上競技選手権・2008北京オリンピック日本代表。
中学から陸上をはじめ、名門報徳学園高校を経て、渡辺康幸監督にあこがれ早稲田大学に進学、高校時代から強力な海外留学生や、国内トップクラスのランナーとハイレベルなレースを繰り広げ、大学時代、箱根駅伝では海外留学生に競り勝ち3度の区間賞を獲得、5000m、10000mでも日本学生記録を塗り替え、駅伝やトラック種目のスピードランナーとして国際大会でも活躍。
大学卒業後ヱスビー食品、住友電工で活躍し2016年で現役を退く。
ベストタイム 3,000m:7分49秒26 5,000m:13分19秒00 10,000m:27分45秒59
 
大会の申込締切は10月4日(金曜)となります。
4区間20kにチャレンジしてみませんか。健常者チームの参加もお待ちしております。
大会公式HPはこちらをご覧ください。
 

 

書籍のご案内「盲人ランナー 情熱の街づくり」:著者 上杉 惇さん

著者の上杉惇さんはソウルパラリンピックの代表選手となります。
ブラインドマラソンの黎明期の様子やその後の環境の変化がよくわかる内容になっています。
日本点字図書館のサピエに登録されており、個人会員の視覚障がい者は、無料で「音声データ」や「デイジー図書」を利用することができます。

 
概要
盲人ランナー 情熱の街づくり 定価1200円+税)
著者 上杉 惇
出版社 幻冬舎
内容紹介
みえなくなったことで、みえたもの。
スキー事故により全盲となった著者。
突然光を奪われた恐怖を乗り越えるきっかけとなったのは、マラソンだった。
盲人ランナーとして、世界記録となるフルマラソン233回完走という快挙や、
パラリンピック4位入賞など、華々しい記録を残し、世界中の障碍者たちに希望を与えていく。
そのパワーを街づくりに活かし、「障碍者と健常者が共存する街づくり」という理想を求め、現在も戦い続ける。
「障碍者は閉じこもってはいけない、積極的に挑戦すべき」
自らのその言葉を実践し続ける著者が送る、悩みを抱えるすべての人々のための応援歌。
詳細は幻冬舎のHPをご覧ください。こちら

 

メディア掲載情報:ゆうゆうゆう 北海道マラソン 2019

8月25日に行われた、北海道マラソンの記事が「ゆうゆうゆう」に掲載されました。
青木選手と堀越選手が取り上げられています。
 
二人にとっては、悔しい大会となりましたが、次のレースに向けて動き始めています。
今後の活躍をご期待ください。
 
掲載記事はこちらをご覧ください。

 

メディア出演情報:Eテレ ハートネットTV「パラマニア 陸上」道下美里選手

NHK Eテレで放送中のハートネットTVのパラマニアに道下美里選手が出演いたします。
番組内ではブラインドマラソンについてもクイズが出題されますので、ぜひご覧ください。
 
放送日 
9月16日(月曜)20時から20時30分
 
再放送 
9月23日(月曜)13時5分から13時35分
11月11日(月曜)20時から20時30分
11月18日(月曜)13時5分から31時35分
 
番組内容
パラスポーツの魅力をクイズ形式で深掘りする「パラマニア」。今回は「陸上」。車いす陸上、世界記録保持者の佐藤友祈選手とライバルの世界頂上決戦や東京パラリンピックで初めて行われる「ユニバーサルリレー」の様子を古舘伊知郎さんが白熱実況!視覚障害の選手はどうやって走り幅跳びを跳ぶの?など素朴な疑問にクイズで迫る。“推し選手”は、視覚障害マラソンの銀メダリスト・道下美里選手。伴走者との二人三脚の走りに迫る!
 
詳細は番組HPをご覧ください。こちら

 

メディア情報:北日本放送「ファイター!ブラインド伴走篇」

富山県内を放送エリアに持つ、北日本放送(KNB)のケンミン「ファイター!」にブラインド伴走会富山が採用されました。
KNBが頑張る個人・団体を紹介するシリーズです。
富山県内で、少しずつ伴走の輪が広がりつつあるようです。
 
この動画は、KNBの各番組、CM、youtubeKNB公式チャンネルなどで放送されています。
動画はKNBのホームページからご覧ください。こちら
 

北海道マラソン2019 兼 東京2020パラリンピック視覚障がいマラソン代表推薦選手選考大会:IPC男子 PART2(広報インターン記事)

熊谷 戦略ハマり、東京パラリンピック代表推薦内定
「すごいうれしい気持ちでいっぱい」。東京パラリンピック代表が複数枠の場合、代表となる熊谷はホッとした表情をみせた。
レースプランが功を奏した。今大会は最高気温22度。「みんな暑熱対策をしているので、若干遅めに入ると思った。あえて冬場と同じように早いペースで走るようにした」。後半どれだけ失速せずに、順位を維持できるかが課題だったが、失速を最小限に抑えて、ゴールできたことが勝因となった。
決して、簡単な道のりではなかった。4月に左膝を負傷。「疲労骨折一歩手前」と言うけがに3か月苦しんだ。「けがしたことで、プランが滅茶苦茶」とけがの怖さを痛感した。7月から1か月で今大会に合わせ2位の好成績を収めた。
目標は東京パラリンピックの金メダルだ。「世界勢は2時間20分台。東京パラリンピックに出ることではなく東京パラリンピックで1位を目指している。そのタイムに近づけるように努力したい」と意気込む。「もしクラスが同じ人が1位だったら、自分も推薦をいただけなかった。満足せず、もっと速くなりたい。東京を見据えてけがを言い訳にせず上を目指したい」。2時間20分台で走る世界勢と勝負できるように、強化を続ける。

 

写真1:2位でゴールインした熊谷選手 


和田 良いレースはしたが、あと一歩及ばず・・・
2位の熊谷を捉えることはできなかった。ロンドンパラリンピックT11クラス5000m銅メダリストでリオデジャネイロパラリンピックのマラソンにも出場した和田伸也(42=長瀬産業)は3位でゴールイン。東京パラリンピック代表推薦内定を勝ち取るために、あと一歩及ばなかった。
「(熊谷選手は)強かったですね。これ以上はできない」と和田はベストを尽くした。30k地点まではイーブンで刻んで、終盤ペースをあげるのが和田の必勝法。今大会も35kからゴールまでに3位だった岡村正広(49=RUN WEB)を抜いた。「良いレースしたなという感じです。最後の直線でしっかり順位を1つあげられたのは今後のレースにつながる」と和田選手の後半伴走を務めた中田崇志さんも手応え十分のレースだった。今後は1500m、5000mで東京パラリンピック代表を目指す。11月にドバイで行われる世界パラ陸上で4位以上であれば、東京パラリンピック代表推薦を獲得できる。
今後の課題は全体的な走力アップと終盤のスパートだ。「もう一歩手前でスパートモードに入れるようにしたい」と中田さんは語る。「例えば、今大会はラスト500mくらいからスパートがかかってきたが、もう少し前からかけたい。5000mでいうとラスト400mではなく450mからでもかけられるように幅を広げたい。遠くから行けばいいわけではないが選択肢を増やす意味でやっていきたい。もう100m前からかけていればいいときもあるし、ずっと並走しているときはラスト300mで一気に離せればいい。展開次第でスパートをかけられるようにすれば勝利の確率が上がりますよね」と言う。「和田さんは冷静で安心」と中田さんは語る。代表推薦内定を逃したが、決して悲観する内容ではなかった。ドバイで東京パラリンピック代表推薦を勝ち取る。
 

写真2:ベストを尽くした和田選手(左)と伴走者の中田さん(右)

堀越は途中棄権、岡村は復活の4位
すでに4月のロンドンマラソンで東京パラリンピック代表推薦内定を得ている堀越信司(31=NTT西日本)は35k地点で右足の太ももの痛みで棄権した。大きなけがにつながる前に棄権となった。「『100%力を出し切ってゴールをする』という目標を達成できなかった。自分の実力不足。まだまだ実力が足りないな」と大会後、悔しさをあらわにした。大会前は「周りの皆さんに来年に向けて、『ブラインドマラソンはこんな感じか』と知ってもらいたい。『ブラインドマラソンってこんなに速く走るのか』と見てもらい、来年の東京パラリンピックの盛り上がりに一役買いたい」と意気込んでいたが、残念な結果となった。「あと1年ですが、結果を出せるようにリオデジャネイロパラリンピック4位の悔しさを東京で晴らせるように、できることを一生懸命やって、皆さんに見てもらって、パラリンピックについて興味を持ってもらいたい。結果を出したい」と前を向いた。
岡村正広は復活の4位となった。昨年12月に右膝関節軟骨を損傷した。「危機的な状況」と岡村が振り返るほど苦しんだ。走りきることを今大会の目標としていた岡村は常に上位争いに食い込む好走を披露。東京パラリンピック代表の推薦内定はもらえなかったが、「きっちり最後まで走り切ったということはよかったかなと思う。今後につながるレースだった」とうなずいた。
復活を果たしたリオデジャネイロパラリンピック銅メダリストは「力を落とさずに次のレースに臨みたい」と別府大分毎日マラソンで東京パラリンピック代表推薦を勝ち取ることを誓った。

 

写真3:見事な復活を果たした岡村(中央) 


 

安田享平ブラインドマラソン協会強化委員長のコメント
「パラリンピックのブラインドマラソンがないクラスに所属する高井が『ここで勝ってもパラリンピックとは関係ない』という気持ちのハンディを乗り越えて、『純粋にマラソンを頑張りたい』という思いを感じた。それに他の選手も引きつられてレベルの高い大会になった。非常に良かった。東京パラリンピックでメダルを取れるようにこれから数字、記録を意識させていきたい」

記事・写真 法政大学 藤原 陸人

北海道マラソン2019 兼 東京2020パラリンピック視覚障がいマラソン代表推薦選手選考大会:IPC男子 PART1(広報インターン記事)

先月25日、北海道マラソン2019が札幌市中央区の大通公園を中心に行われた。今大会は東京パラリンピックのブラインドマラソンの代表推薦選手選考大会。2020年に行われる東京パラリンピック開幕までちょうど1年という日に開催された。男子視覚障がいIPC登録者に限ると、11名が走り、熊谷豊(32=三井住友海上)が2時間32分20秒の2位で東京パラリンピック代表推薦選手に決まった。今大会の優勝は高井俊治(32=D2C)で2時間30分54秒。自己ベストを3分32秒縮める快走をみせた。

写真1:東京パラリンピック代表推薦内定を得た熊谷選手
 

自己ベストを大幅更新!!スピードに磨きをかけ高井優勝!!
時々強い雨風が吹くなど変わりやすい天気の中、自己ベストを更新した。「『よくやった!』と言われました」。高井はゴール後、安田享平ブラインドマラソン協会強化委員長から声をかけられると、笑顔が弾けた。
「スタートラインに立った時には自己ベスト狙える自信があった」と好走を続け、2位以下を突き放した。高井はマラソンでは東京パラリンピックには出場できない。自身のクラスのT13は東京パラリンピックの競技にはないためだ。現在T13クラスの5000mで東京パラリンピック出場を目指している。「5000mは苦手意識があった」と語るが、5月の第61回東日本実業団陸上競技選手権大会でアジア記録を更新した(15分44秒29)。強みである持久力に加えて、スピードも武器となった。北海道に行く前に地元・徳島県のサウナと温泉で疲れを取り、大会前夜は鰻で精をつけた。自分の力を100%出せる状態に調整したことで得た自信を持ってレースに挑んだ。
 
写真2:見事優勝した高井選手


東京パラリンピックでは出られない種目で出場をするモチベーションは何なのか。高井は「走るのが好きだから」と語る。競技は違うが、マラソンと5000mはお互いに活かせる点があることもモチベーションにつながっている。「ブラインドマラソンはスピード化している。スタミナがあるだけでは無理。スピードがないと対応していけない。トラックの練習は普段から大事だと思う」とマラソンでパラリンピックに出られないことを悲観してはいない。
 
写真3:大会後笑顔をみせる高井(左)と安田ブラインドマラソン協会理事強化委員長(右)


目標は5000mを14分台で走り東京パラリンピックでメダルを狙うこと。マラソンでは2時間30分切りを目指すことだ。「40kを超えて『2時間30分いける』と言われたが、ペースダウンしてしまった」と優勝しながら悔しさもみせた。「他の強化指定選手と切磋琢磨して頑張ってきている。また良い刺激を選手たちに与えられる走りがしたい」。持久力に加えスピードという新たな武器を得た高井が次なる高みを目指す。
 
写真4:表彰式でメダルを授与される高井

記事・写真 法政大学 藤原 陸人

PART2は12日に掲載いたします。お楽しみに。

『ましろ日』:視覚障がいの方向け特設ページ更新

小学館ビッグコミックで連載されていた、『ましろ日』の視覚障がい者向け特設サイトが更新されました。
コミックス第6集の内容となる第40光(話)から第47光までの8話分の原作シナリオとなります。

文字でも『ましろ日』をお楽しみください。

特設ページはこちらからご覧ください。

東京2020パラリンピック:観戦チケット申込 特別な配慮が必要な方の専用ダイヤル

東京2020パラリンピックの観戦チケットの申込はお済みでしょうか?
障がいがある方など、特別な配慮が必要な方の専用ダイヤルが設置されました。
障がいをお持ちで、インターネットを使用しての申込が困難な方は以下の専用ダイヤルから申込ください。
申込締切は9月9日 月曜の午前11時59分までとなっています。まだの方はお早めに!
 
以下、東京2020大会組織委員会のHPからの引用です。
障がいがある方など、特別な配慮が必要な方の専用ダイヤルを設けています。
 
050-3786-2948(有料)
受付時間 月曜から金曜 9:00~18:00(年末年始、祝日を除く)

障がいのある方がWebサイトでチケットを申込できない際にサポートする窓口です。
それ以外の方は利用をご遠慮ください。
※申し込み期日直前や支払期日直前はお電話が混みあいますので、お早めのご連絡をお願いします。
 
大会組織委員会のHPはこちらからご確認ください。
 

 

みんなで観に行こう!東京2020パラリンピック:東京都オリパラ準備局

東京2020パラリンピックマスコットのソメイティが表紙の東京パラの観戦促進パンフレットが完成し、東京オリンピックパラリンピック準備局のHPに掲載されています。
パンフレットの容量が大きいため、それぞれでダウンロードし、閲覧ください。

このパンフレットを活用してパラ競技の知識を深めてください。

パンフレットはこちらからダウンロードしてください。

 

小学館 ビッグコミック連載中『ましろ日』:第7集発売告知

唯一無二、伴走マラソン漫画。堂々完結!!
最新単行本第7集が、発売されました!!
 
パラリンピック挑戦への覚悟を決めた山崎。
世界一の伴走者を自負する中居は、彼を強化選手にすべく、ある作戦に踏み切る。
しかし、意気込む中居を前に、山崎は思わぬ宣言をする―――
一方、チーム山崎の前には“あの男”が現れ、ひかり達の心境にある変化が…
それぞれが葛藤、そして決意を胸に、走り出す。
 
ブラインドマラソン漫画、ついにクライマックス!!

ぜひお手に取ってご覧ください。

小学館のましろ日HPはこちらから。

 

北海道マラソン2019 兼 東京2020パラリンピック視覚障がいマラソン代表推薦選手選考大会:IPC女子(広報インターン記事)

 朝は雨が降り、昼頃から暑さに見舞われるという不安定な天気の中、北海道マラソン2019が開催された。この大会はブラインドランナーにとって、東京2020パラリンピックの出場の選考を兼ねている重要な大会の1つであった。4月に行われたマラソン世界選手権(ロンドンマラソン)では、男子は堀越選手、女子は道下選手が東京パラリンピック出場の推薦内定を得た。これに加えて、今回の北海道マラソンと来年2月の別府大分毎日マラソンの結果を考慮して、男女それぞれ3名ずつの選手が東京パラリンピックの推薦権を獲得する。
 大会前日、選手に話を聞いたところ、暑さ対策に力を入れてきたという声が多かった 。近年関東で猛暑日が続く中で、1年後に控えている大舞台を制覇するには、やはり暑さ対策が必要であると感じているようだった。
 
 当日の朝は雨が降り、暑さを感じさせない天気であったが、昼頃から強くなってきた日差しに苦戦した選手もいたようだ。3位に入賞した青木選手は、「後半の暑さがきつかった。水分をこまめに摂ることを意識した。」とレース終了後に話した。
 また、前半の雨は、伴走者にとって難しいコンディションだったようだ。伴走者にとって1番大切なことは、選手の安全確保だ。雨で滑りやすい道を選手が安全に走れるよう、誘導しなくてはならない。雨で濡れたマンホールや水たまりを避けるために、走りながら進路変更を行っていた伴走者も多いだろう。いつも以上に、伴走者の責任感が問われるレースとなった。
 
写真1:ゴール後、喜びを分かち合う青木選手と伴走者の高田さん

 このようなコンディションの中で、上手く天候に対応して乗りきった選手が、道下選手と西島選手だ。道下選手は、「北海道の気候は変わりやすいことを毎年の経験で知っていたので、十分な準備をしてきた。自信を持って走ることができた。」と笑顔で答えた。3回目の北海道マラソン出場ということで、今までの経験を生かし、北海道の気候に十分な準備をしたことが、勝利へつながったのではないだろうか。前半伴走者 青山さんの話によると、決して走りやすい気候とは言えなかったようだが、そのような環境で勝利できることは強みであろう。
 道下選手は、大会終了後のインタビューで、今後は12月の防府読売マラソンでの自己ベスト更新を目標としていることを宣言していた。防府読売マラソンが開催される山口県の気候にも、上手く対応してくることが期待される。
 
写真2: ゴール後、笑顔を見せる道下選手
 

 一方、西島選手は、後半伴走者 鍵 さんの話によると、水たまり等を避けるための進路変更にも適切に対応していたようだ。「西島選手はコース変更に対する切り替えが早く、スムーズに走ることができた。」と答えた。障害物を避ける走りに柔軟に対応したことが、女子2位という結果に結びついたのではないかと思う。また、西島選手自身は「雨風が気持ちよかった。」と話しており、雨であることがマイナスには働いていなかった様子がうかがえた。伴走者と選手が息を合わせて走ることの大切さを実感した。
 大会当日の8月25日は、鍵さんの誕生日であったそうだ。「(2位入賞できたことで)よい誕生日になった。来年は東京パラリンピックの開会式の日になるため、出場を目指してこれからも頑張っていきたい。」と嬉しそうに言っていた。また、鍵さん自身も陸上競技をやっており、「自分だけで走っている時はオリンピックを目指せなかったが、伴走者という立場でブラインドマラソンに関わることで、パラリンピックという大きな舞台を目指せることに感謝している 。」とも答えてくれた。また、西島選手は大会前日のインタビューで「東京パラリンピックを目指したい」と答えるように、出場を意識していた。
障がい者だけでなく、健常者にも夢を与えてくれるところがブラインドマラソンの魅力であるということを実感した。
 今回の大会で西島選手は2位に入賞したことで、来年の東京パラリンピックの推薦が内定した。来年の8月25日、パラリンピックの開会式の舞台にいるかもしれない。
 
写真3:ラストスパートをかける西島選手と伴走者の鍵さん

 今回、ブラインドの女子の選手の平均年齢は約45歳であるが、私と同世代である20代の選手も出場していた。その一人が、和木選手だ。大会前日にお話しを聞くと、「腰の高さや歩幅について意識しながら練習してきた。3時間40分台を目指して走りたい。」と意気込みを語ってくれた。結果は3時間59分台と目標には届かなかったが、同世代が頑張っている姿に励まされた。私も自分が頑張っている姿で、周りを応援できるような人になりたいと思った。
 
写真4:10km地点で、前へ前へと進む和木選手
 
記事・写真 東京農業大学 田中 志穂

北海道マラソン2019 兼 東京2020パラリンピック視覚障がいマラソン代表推薦選手選考大会:強化選手コメント 女子

道下美里 T12 3:09:57
自身のコンディションを把握し設定したペースで走ることが目標のレースでした。
コロコロ変わる天候でペースを刻むのは難しいレースでしたが、アームカバーやかけ水などで体温調整をし想定どおりのタイムでかえってくることができました。
この経験を生かし次回のレースは自己記録更新をめざし走りたいと思います。
応援ありがとうございました!
 
西島美保子 T12 3:15:28
いつも暖かい声援ありがとうございます。
今回は暑さの中で走る絶好のチャンスでその中でどんな走りができるか試されるレースでした。
合宿にも積極的に参加して距離走を何度も行い 身体作りをしてきました。
そのおかげでお天気の変化もそれほど気にならず 後半の落ち込みも少なく思ったレースができました。
一人ではなかなか難しい練習も仲間の力を借りれば頑張れるということだと思います。
東京まで1年 ワンランク上を目指して頑張りたいと思います。

青木洋子 T12 3:17:52
北海道マラソン2019に出場し、3時間17分52秒でIPC登録女子3位という結果でした。
練習不足だったこともあり、悔しさはのこりますが、今回の反省を踏まえて、次のレースに向けて調整したいと思います。
今回、たくさんの方々に応援いただき、大変励みになりました。
会社、友人、家族、サポートしてくださる周りの方々に改めて感謝します。
本当にありがとうございました。
 
藤井由美子 T12 3:18:54
東京パラの内定がかかっているレースで緊張と不安でいっぱいでしたが、応援してくださった方々の一言一言を力に変え、走りきることができました。
内定を取ることはできませんでしたが、このレースの経験を活かし、次のレースに望みたいと思います。 
お世話になったスタッフの皆さん、応援してくださった皆さん、ありがとうございました。

金野由美子 T11 3:34:52
東京パラの選考レースである北海道マラソンに挑戦しました。
暑さを克服すべく、合宿にも積極的に参加し自分なりに練習をしてきたつもりですが、結果は惨敗に終わりました。
それでも、今回の記録はコースベストだったので、あきらめずここからまた積み上げ
次につなげていきたいです。
次は自己ベストを目指して頑張ります。

西村千香 T12 3:53:43
今回のレースは天候が目まぐるしく変わるという環境の中でうまく身体をコントロールできなかったところや気持ちの面など弱い自分が出たレース展開だった。
課題はたくさんありますので今後しっかりと取り組みつなげて日々の練習を積み重ねていきたいと思います。
たくさんの応援と 沿道でご声援くださった皆様本当にありがとうございました。
            
和木茉奈海 T12 3:59:21
前半は天候の変化が激しい中でのレースでしたが、目標にしてタイムを刻むことができました。
レース後半になると気温が上昇し、30キロ以降ペースが落ちてしまったことが悔しい部分ではありますが、これを今後の課題として、
30キロ以降ペースが落ちないような走り方(フォーム改善・持久力を伸ばす)などを目標とし今後は練習に励みたいと思います。
最後に沿道からたくさん声援を送ってくれた方、ありがとうございました。
また、どこかの練習会や大会などで見かけたときは気軽に声かけてください。
 
近藤寛子 T12 途中棄権 
次へ!!
乳がんの手術後、思うようにならないこともありながら、それでも自分の体を信じて向き合ってきた半年でしたが、足の痛みにより途中棄権という結果となってしまいました。
今回は、所属先からもたくさん応援に来てくれていたにもかかわらず、ご期待に沿えなかった悔しさと同時に、こんな私に一心にご支援くださる温かさに、わが身の幸せを感じて号泣。
仲間や家族の応援もあり、次へ!という気持ちがここで無理をせず途中棄権という結果となりました。
棄権してから全く歩けなくなってしまった私に、大会事務局の心温まるご配慮に感謝です。
ほんとうにありがとうございました。
今回のことをバネにして、ひとつひとつ着実に、私にとって相性のいい最終選考の地を目指します!!

井内菜津美 T11 途中棄権
今回の結果は22キロ地点での途中棄権というものになってしまいました。
レース前やレース中にたくさんの応援をいただきましたし、ここまで来るのにたくさんの方々のサポートがありましたのでとても悔しいです。
まずは今の結果を受け止め、できなかった点や課題を明確にして、次のレースで結果を残せるようにやっていきたいと思っています。
最後になりますが、北海道マラソンを支えてくださった皆さん、日々私を応援・サポートしてくださっている皆さんのおかげで大会に参加することができました。
ありがとうございました。

写真:女子優勝の道下美里選手と後半伴走の志田ガイド